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●「いなだ」
関東では「ブリ」の幼魚を「いなだ」と呼ぶが、
今回「食の考察」で取り上げるのは能登の珍味「いなだ」。
「いなだ」とは塩をした天然ブリを天日で干し上げたもの。
ただし天然ブリと言っても使うのは脂の乗らない痩せたモノがベストという。
というのも脂の乗ったモノは脂ヤケして日持ちもしないかららしい。
実は私、以前これを作りかけたことがある。
堅干しの干物どころか包丁も立たぬほどカチンカチンに干し上げた魚、
凝縮された旨みが塊となってこれはさぞかし旨かろうと思ったのだ。
だがこれがなかなかに一筋縄では行かない。
何しろ一夜干しとはわけが違うのだ。
カチンカチンのガンガンに堅く干し上げるのに一体何日・・・
・・・
・・
と、ある日、気付くと辺りには異様な臭いが漂っている。
何やら楽しげに蝿も飛び回っている。
臭いの元はどう見て見ぬ振りをしても歴然としている。
そう、私の「いなだ」は腐ってしまった。
というわけで一度は口にしたいと思っていた「いなだ」、
この度やっと、やっと、やっと入手。
こ、この薄っぺらな透けるような身にどれほどの旨みが詰っているのか。
それを知りたいがために作りかけた「いなだ」がどれほど異様な臭いを放ったか。
そしてその臭いのために私がどれほどお上さんの痛い視線に晒されたか。
姿勢を正して先ずは一切れ。
おっ、これは旨いじゃん !!!
やや塩辛いがそれにも増して確かな旨みが口の中に広がる。
酒との相性は言うには及ばぬが飲むには大いに及ぶ。
何だかおかしな日本語だがこの際些事に構ってはおられぬ・・・
が、飲みながら考えた。
魚を干し上げるまでの手間、
もしもまた失敗した時に辺りに漂うであろう強烈な臭い。
そしてそこに乱舞する蝿。
これらの負の要素と自家製の凝縮された確かな旨みという正の要素、
この2つを秤にかける。
・・・リスキーだ。
例えば6対3で迎えた9回裏、
2アウト満塁でバッターは王貞治。
1発出ればサヨナラというシーンでサインは「勝負!」。
これくらいリスキーだ。
●「いなだ」
◇話題性・・・★★★
◇ 味 ・・・★★★☆
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