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●「サワラのカラスミの粕漬け」
「カラスミ」と聞いて先ず思い浮かぶのは「ボラの卵巣」だ。
ところが今回の「カラスミ」は「サワラの卵巣」を使用しているという。
「はて、サワラの卵巣?」と調べてみると、
そもそも中国から日本に製法が伝わった時の「カラスミ」の原料は、
「ボラ」ではなく「サワラ」の卵巣が使われていたらしい。
それが17世紀末頃から野母半島沿岸のボラの卵巣が原料として定着したのだが、
それでも讃岐周辺ではその後も「サワラの卵巣」を使って作り続けていたという。
つまりは我国の「カラスミ」のルーツということになるのか。
今回の「食の考察」はその「サワラのカラスミ」を更に粕漬けにしてあるという。
ただでさえ珍しいものを何故そこまで?
不思議に思わぬではないが先ずは食べてみることに・・・
予め粕漬けと知っているからか微かに清酒の香りがするような気もするが、
どれほどのインパクトが感じられるというものではない。
ただそれよりも気にするほどではないが若干の生臭さ、
ふむ、ひょっとするとこの生臭さを隠すための粕漬けか?
「カラスミ」の製造過程で一番に神経を使うのは恐らく血抜きだろう。
これがしっかりできていないと生臭くなるのだ。
(こちらを参照 → http://www.geocities.jp/duoneemu/recipe6.html )
「サワラの卵巣」はその"血抜き"という作業がし辛い材料なのかもしれない。
となれば「カラスミ」の原料が「サワラ」から「ボラ」へと変わった背景、
この辺りに問題があるのかもしれない。
そのまま食べて生臭いとなれば「カラスミ」の定番の食べ方、
薄くスライスしたものを軽く焙ってみる。
やはりこれが正解。
香ばしい香りが立ち上がって生臭さは微塵も感じられない。
「おーっ、これぞ『カラスミ!』」と、右手はやはり酒を満々と湛えたグラスへ。
この贅沢極まりない美味さを味わえるのなら、
再度「カラスミ」作りに挑戦するのも悪くない・・・
が、飲みながら考えた。
「カラスミ」を作るまでの手間。
或いは失敗した時のあの生臭さ。
これらの負の要素と自家製の贅沢極まりない美味さという正の要素、
この2つを秤にかける。
・・・リスキーだ。
例えば6対3で迎えた9回裏、
2アウト満塁でバッターは王貞治。
1発出ればサヨナラというシーンで、
あろうことか「ピッチャーの交代をお知らせします。ピッチャー、duo」。
これくらいリスキーだ。
●「サワラのカラスミの粕漬け」
◇話題性・・・★★★☆
◇ 味 ・・・★★★☆
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