食の考察 その４１

先日のライヴのリハーサル前、
別件でホールの下階にあるスーパーを覗いたときのこと。

いつものクセでまずは海産物売り場を軽く流す。
「おー、岩牡蠣の季節だぁ。この店、サザエが安いなー」
などと思いながら見ていて、
「あら、珍しい。しかもそれほど高くない♪」
と見つけたのは「バイ」。
「クロバイ」とか「小豆バイ」と呼ばれる、
茶系の殻に水玉のような模様が浮いた巻貝だ。

私が幼い頃はしばしば食卓を賑わせていた気がするが、
最近あまり目にしなくなったと調べてみると・・・

ここにも人間の手による環境破壊の犠牲者がいた。

つまり、
沿岸の砂泥地に生息するバイだが、
近年は内湾が環境ホルモン物質である有機スズ化合物によって汚染されたため、
その多くが生殖能力を失い激減してしまった。
1990年代頃からは高級食材になり、
庶民の口に入ることはほとんどなくなったのだ。
惣菜等で時々見かけはするが、
これは近種を輸入したものだ。

最近では船舶塗料規制により、
2000年以降は一部の海域で復活の兆候があるらしい。

話は変わるが、
この「バイ」が内湾などの近場にまだ多く生息していた頃、
釣り人はこの「バイ」を釣っていたらしい。
アオイソメを付けた夜の投げ釣りで、
ポツポツ釣れていたというのだから面白い。
豊かな自然が当たり前で、
環境破壊などという言葉が身近な大きな問題になるとは思わなかった頃のことだろう。

「バイの煮付け」
◇　味　　・・・★★★
◇話題性・・・★★★★