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食材の百尋(ひゃくひろ)とは?と訊けば、
「それは鯨の小腸だ」と大抵は返ってくるだろう。
サエズリ、畝須、百畳etcと同様、
鯨料理ファンならずとも「ピン!」と来る人は少なくないに違いない。
ところが上の写真。
これも「百尋」と呼ばれるものだが実はこれが鯨ではない。
では何の「百尋」なのか?
これは何と記念すべき第一回「食の考察」で取り上げた「マンボウ」の腸。
(この時は身とキモを食したけどイマイチで(^^;ガッカリ)
「マンボウ」というと、
ユラユラのんびりと海を漂う可愛い魚というイメージかもしれないが、
これが大きくなると体長3m、体重2t をゆうに越える巨魚になる。
何しろ大きな「マンボウ」を捌くときにクレーン車を使うことがあるほどだ。
つまりそれほどに大きな魚の腸だけに、
鯨の腸にも匹敵するほど長いということなのだろう。
* 尋(ヒロ):長さの単位。
両手を左右に伸ばしたときの両方の指先の距離。
六尺、約1.8m。
ところで「マンボウ」の百尋。
一つは塩焼きに、一つは味噌漬けにしたものを焼いてみたのだが、
これが身とは全くの別物で存外に面白く美味しい。
食感は硬めの魚肉とそれこそ牛ホルモンのミノを足して2で割ったようだ。
程よい弾力が楽しくて次から次とつい手が出る。
味は魚の旨みが上品に乗っているがクセと感じるものはなく、
塩味や味噌が素直に馴染んで酒の肴に申し分ない。
正しく”佳肴”というに相応しい逸品ではあるまいか。
それにしてもまだこういうモノが出てくる「食」の奥深さ。
これだから「食の考察」は面白い。
調べる楽しさ、知る楽しさ、食べる楽しさ、
一体いつまで続くんでしょうか?
●「マンボウの百尋」
◇話題性・・・★★★★
◇ 味 ・・・★★★★
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