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なんちゃって太公望「duo」の雑記
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「微熱少年」 松本隆 著 (1985年11月20日発行)




『エリーは最初首を振っていたが、
 手をひかれるままフロアの中央まで行き、
 吉田と踊り始めた。

 細い腕を彼の背中にまわし、
 頬を肩の上に乗せていた。』


『「あなたの書いた詩、歌になったら聞きたいわ」
 「ほんと?」
 「私のこと書いて」
 「君のこと?」
 「そう今日のこと」
 「うん、いつかね。書ける日が来たら」
 「きっとよ」
 菫色の雨の降る水曜日だった。』

以上、いずれも本文より。

この本を買うとき、
私は作家としての松本隆を知らなかった。
だが読み進んで行くうちに松本隆があの松本隆とつながり・・・
(和製ロックの伝説的バンド「はっぴいえんど」のドラマー)
ということは必然的に大滝詠一とつながり・・・
つまりそれは上記のシーンとつながって・・・

そう、
「A LONG VACATION」の中の収録曲の歌詞が、
小説の中でも印象的なシーンとして出てくるのだ。
お洒落なリゾートというイメージの「A LONG VACATION」に対して、
十代の切ないラブストーリーの「微熱少年」。
そこに共通性は見当たらないが、
松本隆は違和感なく見事に使い分けている。
読み返してみて、
松本隆のセンスの良さを改めて感じる1冊だった。

 ◇「A LONG VACATION」
  大滝詠一による精密に構築されたカラフルな音作り、
 松本隆の手によるファッショナブルな歌詞、
 当時の音楽シーンに大きな衝撃を与えたベストセラー・アルバム。
 和製ポップ史上に燦然と輝く金字塔。

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