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「大将、ごちそうさんでした。
おあいそお願いします」
「ハイよ、おあいそね!」
日曜日、お上さんと訪ねた「安平」。
仕上げに「トラフグの白子」をいただき大満足。
そろそろ席を立とうかと「秋鹿」を飲み干したところへ、
「ところでduoさん、ヨナキって知ってる?」
まさかここで蕎麦でもあるまい。
蕎麦じゃないとすると何だ?
「さあ?何スか、ヨナキって?」
「標準和名をテングニシっていう巻貝。
美味いのよ。
コリコリってして。
アワビみたいな味わいなんよ」
「・・・」
「どう?食べて帰らん?」
というわけで上げかけた腰が静かに着地した。
どうにも酒飲みの急所というのは非常に分かりやすく、
しかもこれほどにも脆いものかとつくづく思うわけで。
「duoさん、そろそろ清酒に変えよか?」
絶妙のタイミングで大将が聞いてくる。
お腹もやっと落ち着き、
喉の渇きもビールで潤ったというところだ。
「そうですね、そろそろいってもらいましょうか」
「ハイよ、じゃあ焼きからね」
この日の安平、日曜日だというのに満員で、
大将は注文に追われかいがいしく動きながらも客のペースをよく見ている。
カウンター越しに焼き具合を見ている私。
良い色で焦げ目が付いてきたところで清酒を頼む。
「じゃあ、『秋鹿』を・・・」
のどかな漁港を見下ろす座敷で遅めの昼食をとった。
人心地ついてお勘定を済ませ、
「ごちそうさま」
「ありがとうございました。どうぞまたお越しくださいませ」
の声を背に表に出る。
「おっ」
店に入るときは駐車場の片隅にあったカレイの干物の棚。
出るときは入り口正面の日陰になる場所に移動している。
なるほど。
陽射しを読んで引越したか。
これも魚を美味しくするための工夫だ。
というわけで今回の「食の考察」は、
「魚の旨み」についてのお話し。
見た目、ちょっと引いてしまう。
何だか汚れた縄を解したような感じだ。
何、これ?
訝しがりながらもひとつまみ口に運ぶ。
「!」
うまいじゃん!
何とこれ、
「いかすみ さきいか」と言う。
「いかすみ」が味にどういう効果を与えているのか不明だが、
まず見た目とのギャップに驚いてしまう。
このギャップが、更に美味しく感じさせるのかもしれない。
が、ふと気になることが脳裏に浮かんだ。
鏡に向かい、
「ニィーッ」とやった自分の口元を見る。
大丈夫。
いかすみのお陰で、
お歯黒のようになってはいないかと気になったのだ。
そして「さきいか」をつまんだ指を見る。
やはり黒くなっていないかと気になった。
味はともかく気を使うつまみだ。
● 「いかすみ さきいか」
◇味 ★★★
◇話題性★★★★
これほど待ったのだからもう良かろう・・・
と思い立ち書店へ向かった。
そう、「東京タワー」 (リリー・フランキー著)を買うために。
書店に入り単行本コーナーに行くと、
― まだ、やってやがる ! ―
単行本コーナーの一画に「東京タワー」コーナーがデカデカと作ってあるのだ。
その一画全部「東京タワー」。
おまけに大きなPOPが張ってある。
『200万部、突破 ! 』
このボリュームあるコーナー作りと迫力あるPOPがあるが故に、
私には手が出せない。
とてもじゃないが読む気になれないのだ。
というわけで本日購入した本。
倉本聰の作品はつい買ってしまう。
どのようなコーナー作りがしてあろうとおそらく買ってしまう。
弱いのだ。
倉本聰は私に衝動買いをさせる作家だ。
秋田の「しょっつる」に欠かせない「ハタハタ」、
ここ山陰地方ではこの魚を「シロハタ」と呼ぶ。
そしてこの魚を使った寿司が秋田では「ハタハタ寿司」。
これが鳥取の「賀露」(かろ)という港町では「シロハタ寿司」となる。
秋田の「ハタハタ寿司」が、
酢でしめたハタハタに麹やご飯と幾種類もの野菜を一緒に漬け込むのに対し、
「シロハタ寿司」はやはり酢でしめ背開きにしたシロハタに、
酢やみりん等々で味をつけたおからを挟んで漬け込むというもの。
残念ながら私は「ハタハタ寿司」を食べたことがないが、
どちらの寿司も大量に獲れたハタハタ(シロハタ)の保存食として考えられたものだ。
しかしそれは必要に迫られた時代の保存食なのであって、
今では絶好の酒の肴だ。
今日の「シロハタ寿司」は、
パーティ仲間のおぢぃが届けてくれたもの。
日が暮れるのももどかしく、
心は夕方から既に晩酌モード。
早速、風呂上りに一人で始めてしまった。
酒は昨夜の清酒「瑞泉」のゲタ。
酢の加減もほど良く「シロハタ」の旨みと合い間って、
重ねる「瑞泉」に止めどがない。
嗚呼、飲みすぎてしまう。
嗚呼、酔いすぎてしまう。
● 「シロハタ寿司」
◇味 ★★★
◇話題性★★★
John Butler Trio-Ocean というギタリストのライヴの映像が届いた。
初めて聞く名前でどういうスタイルなのかもわからない。
しかし、
聞き始めてすぐに私がフリーズしてしまった。
私の目と耳が、
そこから離れられなくなってしまったのだ。
スポット的な映像なので、
楽曲については何とも言いようが無い。
なのに見るもの、聞くものを凍てつかせてしまうのは、
その弾き方のせいだろうか。
アコースティックギターを弾くものなら、
誰しも思いつく弾き方だと思う。
だが思いついた途端、
「こんなことは誰にもできるわけがない!」とすぐさま理解してしまう弾き方、
その弾き方を目の当たりにして圧倒されてしまうのかもしれない。
このライヴの映像を見て、
私は感動するとともに悲しくなってしまった。
それは、
このギタースタイルを確立するために費やした時間の、
その重さは如何ばかりかと思ったからだ。
多感な青春時代、
ほとんどの時間ギターを抱いて過ごしたであろうことは想像に難くない。
ひょっとすると、
見返りさえ心にはなかったかもしれない。
その尊いひたむきさは、
高校野球だけの専売特許ではない。
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