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のどかな漁港を見下ろす座敷で遅めの昼食をとった。
人心地ついてお勘定を済ませ、
「ごちそうさま」
「ありがとうございました。どうぞまたお越しくださいませ」
の声を背に表に出る。
「おっ」
店に入るときは駐車場の片隅にあったカレイの干物の棚。
出るときは入り口正面の日陰になる場所に移動している。
なるほど。
陽射しを読んで引越したか。
これも魚を美味しくするための工夫だ。
というわけで今回の「食の考察」は、
「魚の旨み」についてのお話し。
美味い魚を食べるなら・・・
これは一言ではなかなか言い表せない。
そりゃそうだ。
あまりに多くのファクターがあるのだ。
鮮度はもちろんのこと、
季節もあれば産地によっても違う。
固体の成長の度合いもあるし、
食べる側の諸事情によってもいろいろと変ってくるかもしれない。
それこそ考えたらキリがない。
では、どういう切り口で・・・
まず「魚の旨み」とは何ぞや。
これは化学的にいうとIMP(イノシン酸)という旨み成分だ。
だがこのIMP(イノシン酸)、
もともと魚の中にはない。
どういうことかというと、
魚の身体の中にあるATP(アデノシンⅢリン酸)という成分が変化をしたものがIMPなのだ。
詳しく言うとこれは次の段階でADP(アデノシンⅡリン酸)になり、
更にAMP(アデノシンⅠリン酸)を経て最終的に旨み成分のIMP(イノシン酸)になる。
つまり、ATP(アデノシンⅢリン酸)という成分が多いほど旨みが増すということだ。
ただこのATP、
厄介なことに、
魚がストレスを感じると体内で消費してしまい減少してしまう。
だから大きなストレスを感じた魚は、
旨み成分のIMPのもとになる成分が少ないということになる。
では、ストレスの少ない魚とは?
これは釣り上げられた魚だ。
そして最小限のストレスで瞬時に活き〆される魚だ。
網の中で逃げ場を失い、
闘争本能をむき出しに暴れた魚はストレスの固まりなのだ。
一方、釣り上げられその場で活き〆にされた魚は、
大量のIMP(イノシン酸)を生成するべく熟成するのだ。
大分県佐賀関町沖合の豊後水道で一本釣りされたマアジやサバは、
「関アジ」、「関サバ」というブランド名で市場に出る。
市場では下手な真鯛よりも高値で取引される。
また、瀬戸内海は鳴門の真鯛。
これも他の追随を許さない一流のブランドだ。
それはこれらの魚が、
「潮の流れが速くエサが豊富な海に育つから身が締まって美味い」
というだけではない。
「関アジ」「関サバ」はどれも釣られた魚だ。
一網打尽にされた大群の中の1匹ではなく、
1匹1匹釣られた魚なのだ。
加えて鳴門の真鯛の場合、
熟練の漁師ならではの活き〆をされた鯛は貴重だ。
それは、
鯛の背骨の神経抜きという活き〆の方法なのだが、
この活き〆をされた鯛は鮮度の持ちが抜群に良く、
旨み成分も多い。
まあ、ここまでくればおいそれと口にする事も叶うまいが、
折に触れ考えるのも良いだろう。
スーパーの魚、
釣ってきた魚、
頂き物のお裾分けの魚・・・
それぞれ味が違うはずなのだ。
私も、
どこかで神経抜きを施された鯛に出会うことがあれば、
姿勢を正して頂くことにしよう。
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