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●「クロムツ」 【スズキ目ムツ科ムツ属】
黒光りした魚体に鋭い歯の並ぶ恐持ての魚相、
どう見ても獰猛な魚という印象を拭い去れない。
ただ生態はほとんど知られていないので本当のところはわからないが、
ひと口食べてみればその上品な味わいに「クロムツ」の再認識は必至だ。
あっさりとした中に脂がしっとりと乗り、
クセのない旨みがジワジワと口中に広がる。
日本海側ではあまり目にする魚ではないので知らなかったのだが、
調べてみて驚いた。
首都圏の市場では常に高値安定で、
例えばあるサイトでは「真鯛」の活〆がkg/1,500円に対し、
「クロムツ」はkg/3~3,500円もするのだ。
何とこの恐持てが高級魚ではないか!
とは言えこういう価格は需要と供給のバランスの中でこそ付くのであって、
この魚を食す習慣のない地方では味すら知られずに雑魚扱いされかねない。
まさか「クロムツ」に限って雑魚扱いは・・・と思うなかれ。
先日、近所のスーパーの魚売り場を覗いたときのこと。
売り場の一角に「ノドグロ」(標準和名 アカムツ)が並んでいる。
なかなか良いサイズで1匹が7~900円を付けている。
その中に件の「クロムツ」同サイズが1パック申し訳なさそうに置いてある。
「へー、珍しいものがあるなぁ」と手に取れば、
これがプライスカードを見て吃驚仰天。
「100円」
「知らない」ということは、
時に恐ろしいことをしでかすものだな。
まあ、私にはありがたいことではあったのだが・・・。
●「クロムツの塩焼き」
◇話題性・・・★★★★
◇ 味 ・・・★★★★
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