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「オーパ、オーパ !! アラスカ編
海よ、巨大な怪物よ」 開高健著
「フィッシュ・オン」の開高健の言葉は、
砂丘に降る七月の雨のように私の心に沁み込んだ。
これは私にとっての河、湖、海を舞台にした高邁にして純粋な文学だった。
「オーパ、オーパ !! アラスカ編」もまたそうなのだろうと思いきや、
これはどうもそうではないらしい。
例えて言うならば、そう、これは大人の絵本。
目に留まった言葉や写真を無作為に拾い集めては本を閉じる。
それを本棚に戻すと絶海の孤島から私の心は瞬時に「今」に帰って来る。
「今」の私はいつもの習慣でギターを手に取り、
数日前から練習を始めた「キューピー・3分クッキング」のテーマ曲のおさらいをする。
何度か繰り返して弾いた後ギターをスタンドに戻すとまた本棚に向かい、
今度は昨日から読み始めた「博士の愛した数式」を引っ張り出し栞を挟んだ頁を開く。
キリの良いところで後ろ髪を引かれながらまた栞を挟み、
私は雑多な日常生活に戻って行く。
それからその数十分後か、数時間後か、数日後かに私はまた「オーパ」を手に取り、
気まぐれにどこかの頁を開くのだ。
そしてその瞬間、私の心は濃霧のベーリング海のプリビロフ諸島に遊んでいる。
●「イボニシ」【新腹足目アッキガイ科】
2~3cmの小さな巻貝。
磯遊びをしていると有るときにはいくらでも目にするのだが、
無いとなるとこれがなかなか見つけられない。
それを先日、偶然見つけたのは磯ならぬ「かろいち」→ http://www.karoichi.jp/。
少々粒が小さいが30ヶほど盛って一カゴ300円也。
磯に探しに行けば良いようなものなんだがなぁ・・・
と思いながらも目の前の現物の魅力には抗えなくて、
「あばさん、これ一カゴちょうだい」
その夜は当然のことながら「イボニシ」の塩茹で(とビールと生酒)。
この貝の良い所は何と言っても気取らずに我輩流で行けること。
「エゾボラ」やその他諸々の「Bツブ」のようにそれらしいことを言う必要はない。
爪楊枝でひねり出してひたすら食べる。
口の中に広がるのは純粋な磯の香りと「イボニシ」独特の風味。
この風味は舌にピリッとくる苦味というか辛味と感じられて、
そのため地域によってはこれを「タバコニシ」と呼ぶ。
貝好きの我が家のお上さんも、
この風味が舌を刺してイヤだと言って手を出そうとしない。
つまりは女・子供には理解できない大人の味の「タバコニシ」なのだ。
そしてこれは、仕方がないけど独り占めできるありがたい食材なのだ。
●「イボニシ」
◇話題性・・・★★☆
◇ 味 ・・・★★★
砂の美術館 「世界遺産・アジア編」をPartyにUP。
http://www.geocities.jp/duoneemu/party23.html
正直、あまり期待していなかったのだが、
これは私の食わず嫌いだった。
「兵馬俑」・「タージマハル」・「バーミヤン大仏」等々見ごたえ充分。
風化していずれ砂に帰るという儚さがまた良い。
http://www.geocities.jp/duoneemu/recipe20.html
↑ で仕込んだ「小イワシの塩辛」。
仕込んだその場でチョロっと舐めてみて、
「!」
驚いた。
刺身では知るべくもない強烈な旨みが既にそこにはあったのだ。
それは「小イワシの塩辛」を仕込んでから8日目の夜、
そう、「鮒寿司」をマッチォさんとおぢぃ.comと共に食べた夜のことだ。
「鮒寿司」をつまみながら酒を煽る二人に、
「こういうのがあるけど、どうかな?」と出してみる。
「おっと、これは何だ?」
言う側から箸を出して口に含んだ二人の反応は明らかに「鮒寿司」とは別物。
「『鮒寿司』も良いけど、これは・・・・・・・凄い!!!」
二人とも物凄く気に入ってくれた様子。
これは簡単にできてしまうのだからと作り方をレクチャーするのだが、
二人の脳みそに届いたものかどうか。
「そうか・・・小イワシが手に入ったらここに持って来ればいいのか!?」
「チゲーよッ!!!」
●「小イワシの塩辛」
◇話題性・・・★★★
◇ 味 ・・・★★★★
ちょっした遊び心で始めた「食の考察」が今回で「その100」。
「考察」などと勿体をつけてはいるが、
その実ただ食べるだけという気軽さがここまで続けさせたのかもしれない。
何事にも「三日坊主症候群」的私がよくぞここまで・・・
さて今回私が準備したのは、
「食の考察」を始めたばかりの頃、
「もし100回を迎えたらその時はこれにしよう」と心に暖めてきた食品。
「鮒寿司」。
数年前に聞いた話。
その日、知人は深夜にはたと思いついたのだそうだ。
「鮒寿司が食ってみてぇ!!!」
何故そうなったのかは知らない。
が、とにかく彼は思いついたのだ。
そのまま車をかっ飛ばして琵琶湖を目指す。
翌朝、土産物屋が開くのを待って彼の思いは叶えられた。
「で・・・、鮒寿司は美味かった?」と聞けば、
「あまりの強烈な臭いに全く歯が立たんかったんですわ」
と、小さな声で彼は答え寂しそうに笑った。
それ以来の「鮒寿司」なのだ。
私にとっても未知のその食べ物は心の奥底に深く居座り、
小さな恐怖と大きな憧憬となっていつまでも変わることがなかった。
それが今、とうとうここに・・・
というわけで「鮒寿司」。
結論から言うと実に旨い。
「あまりの強烈な臭い」
と知人に言わしめた香りは乳酸醗酵した沢庵の古漬けのそれと変わりないし、
鮒特有の臭いが残っていれば厳しいと思っていたがそれもない。
抱卵した身と皮の心地良い食感と適度な塩気に清酒が進む。
いや、進みすぎる。
この日、「相談がある」と久しぶりに顔を出したマッチォさんと、
そういうことならのこの人の意見も参考にしようとお出で願ったおぢぃ.com。
「鮒寿司」の臭いに、
「ギョエ――――――――――――――ッ!!!!!!!!!」となるかと思いきや、
「旨い、旨い」と喰らい、かつ飲む。
「マ、マッチォさん、その酒、少し残しておいてぇ・・・(涙)」
●「鮒寿司」
◇話題性・・・★★★★
◇ 味 ・・・★★★★
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